2026-27シーズンの競技規則はここが変わった ― 観る側から見た6つの改正

観戦文化

Laws Of The Game

2026年8月7日、明治安田J1リーグの第1節。秋春制1年目の開幕であると同時に、この日からピッチの上のルールがいくつか変わる。国際サッカー評議会(IFAB)が2026年に承認した2026/27年の競技規則改正が、Jリーグの公式試合に適用されるからだ。北中米ワールドカップで先に運用されたものと、中身は同じである。

条文の改正と聞くと審判と選手の話に思えるが、今回は効き目がスタンド側に出るタイプだ。試合が止まっている時間が短くなり、これまでなら警告で済んでいた振る舞いで退場者が出るようになり、VARが口を出す場面が増える。日本サッカー協会(JFA)が公開した通達の条文にもとづいて、観る側から見て何が変わるのかを整理しておく。

結論

交代(第3条) 退く選手は10秒以内にフィールドを離れる。超えると交代要員は再開後1分が経過するまで入れない
スローイン・ゴールキック(第15条・第16条) 遅らせていると主審が見たら目で見て分かる5秒のカウントダウン。超えると相手ボールになる
負傷(第5条) フィールド上で治療を受けた選手は、再開後1分間フィールドの外にいなければならない
退場が2つ増えた(第12条) 口を覆う行為と、主審の判定に抗議してフィールドを離れる行為
VAR 明らかに誤った2枚目の警告による退場、人間違い、明らかに間違って与えられたコーナーキックが対象に加わった
適用開始 J1は2026年8月7日の第1節、J2・J3は8月8日の第1節から

試合が止まっている時間を削る ― 交代の10秒と、再開の5秒

今回の改正でいちばん量が多いのは、時間の浪費を止めるための変更だ。まず交代。第3条の改正で、交代して退く選手は交代ボードが表示されてから10秒以内(ボードがない場合は主審の交代の合図から10秒以内)にフィールドを離れなければならなくなった。同じプレー停止中に複数人を替える場合は、最後の交代が示されてから10秒以内で数える。安全・警備・負傷のために不可能なときは例外だ。

破ったときの罰がわかりやすい。退く選手はそれでもフィールドを離れなければならず、そのうえで交代要員はすぐには入れない。プレーは10人のまま再開され、交代要員が入れるのは再開から1分が経過した後の最初のプレー停止時になる。交代を取り消すことも、別の交代要員に差し替えることもできない。警告が出るのは、10秒を超えてさらに過度に再開を遅らせた場合に限られる。つまりカードではなく「1分間の数的不利」で払わせる設計になっている。

もうひとつが5秒のカウントダウンだ。第15条(スローイン)と第16条(ゴールキック)に、主審が「不当に遅らせている」と判断した場合、笛を吹いて合図し、手を上げて目で見て分かるように5秒を数えるという手順が加わった。5秒が過ぎても再開されなければ、スローインは相手チームのスローインに、ゴールキックは相手チームのコーナーキックになる。これに合わせて第17条にも、ゴールキックの遅延を罰したときにコーナーキックが与えられる、という記述が追加された。

ここは誤解されやすいので押さえておきたい。すべてのスローインとゴールキックが5秒以内という意味ではない。カウントダウンは自動では始まらず、主審が遅延と見たときに初めて起動する。ロングスローの準備のような正当な段取りが罰せられるわけではない。逆に言えば、主審が手を上げて数え始めた瞬間がスタンドから見えるということでもある。今季は、この「上がった手」を探す見方が増えるはずだ。

負傷した選手は、いったんフィールドの外に出る

第5条の改正はやや地味だが、体感への影響は大きい。フィールド上で負傷の程度の判断や治療を受けた選手、あるいは負傷によってプレーの停止の原因となった選手は、フィールドから離れ、プレーが再開されてから1分間(時計は止めずに計測)フィールドの外にいなければならない、と定められた。復帰は主審の承認を得てからで、ボールがインプレー中はタッチラインからのみ入れる。主審はインプレー中の復帰を承認することもできる。

例外もきちんと書かれている。ゴールキーパーが負傷した場合はこの限りではない。また、相手が警告または退場となるような体を用いた反則の結果として負傷し、程度の判断と治療がすばやく終えられるときも要件から外れる。削られた側が損をしないように線が引かれている。

観る側の体験として言えば、これまで「治療のたびに試合が細切れになる」と感じていた時間が短くなる代わりに、短時間だけ10人で戦う場面がこれまでより頻繁に現れることになる。その1分をどう耐えるか、あるいはどう突くかは、そのまま勝点の話につながる。順位表の読み方は順位表の読み方と昇格プレーオフにまとめている。

退場が2つ増えた ― 口を覆う行為と、抗議によるフィールド離脱

ここからは競技会ごとに採用するかどうかを選べる項目で、Jリーグは2026年7月23日に採用を発表した。IFABが2026年4月の臨時会議で承認し、JFAが通達したものだ。

ひとつめは口を覆う行為。第12条の退場となる反則に、「挑発的な、嘲笑的な、または相手の感情を刺激するような方法や状況で、相手競技者とやり取りをする際に自分の口を覆うこと」が追加された。手でも腕でもシャツでも同じ扱いだ。IFABは変更の理由として、口元を隠して侮辱や差別的な発言が発覚しないようにする行為への抑止力を挙げている。差別と闘う姿勢を規則の側から示した項目だ、と説明されている。

ふたつめは主審の判定に抗議してフィールドを離れる行為。同じく第12条に、「プレーを継続させる、または再開に関する判断を含めた主審の判定に抗議するために、競技のフィールドを離れる」ことが退場となる反則として加わった。さらに、他の選手にフィールドを離れるよう指示したり促したりする行為も退場になる。チーム役員についても、たとえ選手が実際には離れなかったとしても、指示・促した時点で退場の対象になると書かれている。

条文が「抗議するために」と限定している点は読み落とさないほうがいい。得点後にコーナーフラッグの外へ走っていく場面がこれに当たるわけではなく、あくまで判定への抗議としてプレーを放棄するケースを想定した条文だ。とはいえ、判定に怒りが集まった直後にピッチとベンチで何が起きるかは、スタンドの空気にも直結する。熱くなった場面での声の出し方はゴール裏と応援の作法で触れた。

VARが手を出せる範囲が広がった

VARが介入できる場面は、これまで「得点か得点でないか」「PKかPKでないか」「退場」「人間違い」に限られていた。2026/27の改正で、次の3つが加わっている。

  • 明らかに間違った2枚目の警告による誤った退場——これまで2枚目の警告での退場はVARの対象外だった。ここが開いたのは大きい
  • 人間違いの拡大——反則を行ったチームの別の選手にカードが出てしまった場合、警告・退場のどちらでも訂正できる
  • 明らかに間違って与えられたコーナーキック——ただしすみやかに、再開を遅らせることなく変更できる場合に限る(競技会で選択できる項目。Jリーグは採用を発表した)

コーナーキックについては、Jリーグの発表に注意書きがある。ゴールキックの判定はレビューの対象外だ。つまり「今のはコーナーではなくゴールキックでは」という方向の訂正は入りうるが、その逆は入らない。VARが動くたびに試合は止まるので、「遅らせずに直せるときだけ」という条件が付いているのはそのためだろう。

もうひとつ、直接VARではないが観る側に関係する改正がある。第3条と第7条に、いずれかのチームが7人未満になったら試合は開始も続行もされないという条文が明記された。ここで言う7人には、一時的な退場や、交代の10秒・治療の1分でフィールドを離れている選手は含まれない。そして中止された試合は原則として改めて行われる。中止まわりの扱いは試合が中止になったときのチケットと振替にまとめてある。

スタンドから見て、開幕節はどう変わるか

まとめると、観客が受け取る変化は3つに絞られる。

ひとつは間(ま)が減ること。交代のたびにゆっくり歩く時間、スローインの前に相手を待たせる時間、治療のために止まる時間——それぞれに上限か代償が付いた。Jリーグは改正の目的を「プレー再開までの時間を短縮し、試合のテンポを維持すること」と説明している。90分の総量は変わらなくても、中身の詰まり方は変わる。

ふたつめは数的不利の場面が増えること。10秒に間に合わなかった交代も、フィールド外に出た負傷者も、しばらくは10人だ。カードは出ていないのに人数が足りない、という見慣れない時間帯が生まれる。ここで失点が起きれば、当然その1点は順位に残る。

みっつめは退場のきっかけが増えること。ファウルの重さだけでなく、抗議のしかたと、言葉の隠しかたが退場に直結するようになった。荒れた試合の終盤について、去年までの相場観はいったん捨てたほうがいい。

実際の運用がどう落ち着くかは開幕してみないと分からない。基準について気になることがあれば、伝聞ではなくJFAとJリーグの発表を見るのが早い。今節どのカードがあるかは今節の見どころと放送・配信一覧で追える。

よくある質問(FAQ)

Q. 新しい競技規則はいつから適用される?

A. Jリーグの発表によれば、明治安田J1リーグは2026年8月7日の第1節から、J2・J3は8月8日の第1節から適用される。IFABの規則そのものは2026年7月1日から有効で、北中米ワールドカップで先行運用された。

Q. スローインは毎回5秒以内に投げないといけないの?

A. 違う。カウントダウンは自動では始まらず、主審が「不当に遅らせている」と判断したときに笛で合図し、手を上げて5秒を数える。そこから5秒以内に再開されなければ相手ボールになる。通常のテンポで投げている限り、この手順は起動しない。

Q. 交代で出ていく選手が10秒に間に合わなかったら、どうなる?

A. その選手はそれでもフィールドを離れ、交代要員は入れないままプレーが再開される。交代要員が入れるのは、再開から1分が経過した後の最初のプレー停止時に主審の承認を得てから。交代の取り消しも別の選手への差し替えもできない。

Q. 口を覆っただけで退場になるの?

A. 条文が対象にしているのは、相手競技者とのやり取りの中で、挑発的・嘲笑的、あるいは相手の感情を刺激するような方法や状況で自分の口を覆う行為だ。侮辱や差別的な発言が発覚しないようにする行為への抑止が目的だとされる。手・腕・シャツのいずれでも同じ扱いだ。

Q. ゴールキックの判定もVARで見てもらえる?

A. 対象外だ。Jリーグの発表でレビューできるようになったのは明らかに間違って与えられたコーナーキックで、しかも「すみやかに、再開を遅らせることなく変更できる場合に限る」という条件が付く。ゴールキックの判定は対象に含まれていない。

Q. 負傷した選手は必ず1分間ピッチの外に出るの?

A. 原則はそうだが、例外がある。ゴールキーパーが負傷した場合、および相手が警告や退場となるような体を用いた反則の結果として負傷し、程度の判断と治療がすばやく完了できる場合は、フィールドを離れる要件から外れる。復帰のタイミングは主審が承認する。

まとめ

  • 2026/27の改正はJ1は8月7日の第1節、J2・J3は8月8日の第1節から適用される
  • 交代は10秒、遅延したスローイン・ゴールキックは5秒。破ると数的不利かボールの移動で払う
  • フィールド上で治療を受けた選手は再開後1分間フィールド外。ゴールキーパーなどは例外
  • 口を覆う行為抗議によるフィールド離脱が退場に。Jリーグは採用を発表済み
  • VARは誤った2枚目の警告・人間違い・誤ったコーナーキックまで見られる(ゴールキックは対象外)
  • スタンドから見た変化は間が減る/数的不利が増える/退場のきっかけが増えるの3つ

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最終更新日: 2026年7月30日

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